マイクロアレイ

マイクロアレイを用いて、遺伝子発現解析を行います。

サービス概要

マイクロアレイとは、DNAチップとも呼ばれており、数万個の遺伝子のmRNAを同時に測定する手法です。具体的には、基盤上に数万種類のDNA(プローブ)が高密度に固定されており、蛍光標識されたサンプル由来のRNAをプローブにハイブリダイズさせることで、プローブに対応する遺伝子の発現を検出します。

マイクロアレイ実験で得られるシグナルデータは、各プローブの蛍光シグナルをスキャンし、そのシグナル強度を数値化したものです。一度の分析で数万遺伝子の発現情報が得られるため、得られたデータの品質管理および解析方法が極めて重要です。(統計学と情報処理の知識が不可欠です。)

マイクロアレイ解析についての解説は、下記のサイトをご覧ください。
http://array.cell-innovator.com

マイクロアレイでどんなことが分かるのか?

マイクロアレイで取得できるデータは、数万遺伝子のシグナル強度(数値)であり、ただの数値の羅列に過ぎません。そのため、この数値を比較・解析して、生物学的に意味のあるデータを読み取る必要があります。
マイクロアレイデータの解析に必要なステップとして、データの前処理(クオリティチェックと正規化)、発現変動している遺伝子の算出・抽出、発現変動遺伝子群の解析(データマイニング)の大きく3つがあります。

本サービスでは、数値の羅列であるマイクロアレイデータを、具体的な研究に“使える”データとしてご提供します!
(論文に掲載する際のヒートマップの作成や、解析方法の記述、マイクロアレイデータの公開データベース NCBI GEO(Gene Expression Omnibus)への登録までサポートいたします。)

また、具体的な研究において有用な情報が得られていないマイクロアレイデータをお持ちでしたら、解析のみのサービスも実施しておりますので、ご相談ください。

データ解析について

(1) データの前処理(クオリティチェックと正規化)

マイクロアレイデータは、一度に数万個の遺伝子の発現を見るがゆえに、一部の遺伝子に再現性のない発現変動(ノイズ、ばらつき)が見られる場合があります。
そのため、データの前処理として、クオリティの確認と正規化が必要です。

マイクロアレイデータは数値の羅列で全体像がつかみにくいため、ボックスプロットや散布図によってデータの品質をチェックします。
ボックスプロットから、特定のサンプルの数値に分布の偏りがないかを確認できます。低いシグナル値を示す遺伝子が、他のサンプルに比べ、あまりにも多い場合、RNAの分解が起きているなどのサンプルの異常が疑われます。
また、散布図から、ノイズやばらつきの傾向を確認できます。比較するサンプルどうしのシグナル値の分布が均一でない場合、発現変動した遺伝子が増加(または減少)に偏ることがあります。そのため、シグナル値の分布を補正する(正規化する)処理を行います。

正規化の効果

正規化を行う前のデータ(生データ)を用いて比較した場合、シグナル値の分布の違いにより、発現変動した遺伝子の判定が適切に行われない場合があります(下図参照)。正規化を行うことで、発現変動した遺伝子が増加(または減少)に偏ることを防げます。

(2) 発現変動している遺伝子の算出・抽出

マイクロアレイデータの解析で、まず最初に行うことは、発現変動している遺伝子(発現変動遺伝子)の判定です。つまり、どの遺伝子の発現が増加(または減少)したのかを判定します。判定方法は、サンプルの数によって、2通りに分けられます。

繰り返しを含まない1サンプルどうしの比較の場合(n=1)、シグナル値の比(fold-change, ratio)を算出し、ratioの大きさにより判定します。例えば、シグナル値が2倍以上または0.5倍以下になっている遺伝子を発現変動していると判定します。また、ratioに加えて、Z-scoreを算出します。Ratioだけでなく、Z-scoreを用いることで、ノイズの可能性のある発現変動を除外できます。

3回以上の繰り返しサンプルを含む2群の比較の場合(n >= 3)、2群のシグナル値に対して、「検定」を行い、算出される p-value の値により判定します。P-value < 0.05 となる遺伝子が、有意差のある発現変動遺伝子となります。

どちらの判定方法を用いたとしても、一般的なケースでは、数百から多くて数千の遺伝子が、発現変動している遺伝子(発現変動遺伝子)と判定されます。

(3) 発現変動遺伝子群の機能解析、パスウェイ解析、クラスタリング解析、ヒートマップ

発現変動している遺伝子を判定しただけではゴールとはなりません。数百個から数千個の遺伝子のリストをただ眺めていては、発現変動した意味を読み取ることは容易ではないためです。特定の遺伝子群が発現変動した、その意味の解釈を助ける解析方法があります。たとえば、機能解析、パスウェイ解析、クラスタリング解析、ヒートマップです。

機能解析
機能解析を行うことで、発現変動遺伝子群の全体のおおまかな傾向を確認することができます。抽出された発現変動遺伝子群は、代謝経路に関係する遺伝子が多いのか、転写制御に関係する遺伝子が多いのか、Cell Cycle に関係する遺伝子が多いのか、といった解析が可能です。
また、「アポトーシスに関連する遺伝子群」のように特定の遺伝子群を抽出することも可能です。(DAVIDなどのデータベースでも機能解析をすることができます。)

パスウェイ解析
代謝経路やシグナル伝達経路を図示したマップ上に、遺伝子の発現変動(ratio, Z-score)を表示します。制御関係のある遺伝子どうしの発現変動を直感的に見られるのが利点です。

クラスタリング解析
3サンプル以上のデータを解析する際に用いられます。遺伝子をクラスタリング処理することにより、発現変動のパターンの似ている遺伝子に分類します。これにより、特定の遺伝子と近い発現変動パターンを示す遺伝子の探索が可能です。
また、サンプルをクラスタリング処理することで、遺伝子の発現パターンの似ているサンプルを分類することも可能です。

ヒートマップ
遺伝子の発現変動の大きさ(ratioなど)の数値を色で表現したものです。減少している遺伝子を緑、増加している遺伝子を赤で表示することが多いです。色の変化として捉えることで、発現変動を直感的に見ることが可能です。
また、クラスタリング処理と組み合わせることで、数百の遺伝子の発現変動パターンを一度に見ることもできます。そこから、どのような発現変動パターンを持つ遺伝子が多いのか把握するときに便利です。

ご要望に応じて、特定の遺伝子群の抽出や、論文用のヒートマップの作成、NCBI GEO へのデータの登録などに対応いたします。

サンプル調製方法

サンプル調製時の注意点

サンプルの調製には、Invitrogen(TM) TRIzol とRNeasy(R) Mini Kit (QIAGEN(R))などカラム精製式のキットを組み合わせて使用されることを推奨します。ゲノムDNAのコンタミを最小限にすることが可能です。
A260/A280の値は、1.8~2.1が推奨ですが、弊社でラベリング前に、再度確認させていただきます。

サンプル調製時に逆転写反応の阻害剤(硫酸化多糖類、EDTA、DEPCなど)が残存していますと、マイクロアレイ解析を行えない場合があります。

RNAサンプルは、RNase-free水に溶解してください。DEPC水は使用しないで下さい。
rRNAの除去は必要ありません。

サンプル(細胞・組織)を送付する際には、ポリプロピレンなどの-80℃(ドライアイス下)で壊れないチューブを用いてください。この点ポリエチレンやポリスチレン製のチューブは不適当です。サンプル調製方法につきましては、事前にお問い合わせいただけましたら、実験に最適な方法をお知らせすることが可能です。(既に凍結保存済みの場合はこの限りではありません)。

送付いただいたサンプルのご返却につきましては、お問い合わせください。

培養細胞および動物細胞からのRNA抽出からご依頼いただく場合

培養細胞の場合

  • 接着細胞:インキュベーターから出した後、迅速に培地を除き、そこに、Invitrogen(TM) TRIzol を添加し、細胞を回収します。チューブに移した後、凍結保存が可能です。
  • 浮遊細胞:遠心して細胞を沈殿させた後、培地を除き、そこにInvitrogen(TM) TRIzol を添加します。細胞の状態によっては、Invitrogen(TM) TRIzol LSを直接、添加することも可能です。事前にお問い合わせください。

動物組織の場合、Invitrogen(TM) TRIzol 中でホモジナイズしたものをお送りいただくことを推奨いたします。難しい場合には、動物組織分離後、液体窒素等で急速冷凍し、そのまま郵送してください。

*ウイルス等の汚染の可能性のあるサンプルにつきましては、事前にご相談ください。

注意事項

製品、および仕様は改良のため予告なく変更する場合があります。
本解析サービスは、各マイクロアレイプラットフォームの推奨する方法でアレイ解析を行い、結果をご提供するものです。解析結果がお客様の期待する結果と異なった場合でも、弊社では責任を負いかねます。

参考資料

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